FPD関連の市場調査を手掛ける米DisplaySearch社は,液晶パネルの生産において2009年はますます寡占が進行するとの予測を発表した。2009年の上位5社による生産比率(ガラス基板の投入面積ベース)は2008年の74.8%から89.2%まで拡大するとDisplaySearch社は予測する。

 2009年の世界全体の液晶パネル生産量は,ガラス基板の投入面積換算で前年比15.5%増の1億500万m2になる見込み。このうち27.5%に相当する2890万m2を韓国Samsung Electronics Co. Ltd.が生産するとDisplaySearch社は予測した。2位は韓国LG Display Co., Ltd.で全体の23.8%に相当する2500万m2を生産するとみており,以下,台湾AU Optronics Corp.が1700万m2(16.2%),台湾Chi Mei Optoelectronics Corp.が1680万m2(16.0%)で続くという。日本勢では唯一,シャープが600万m2(5.7%)で5位につける見通し。

 なお,DisplaySearch社は同時にガラス基板サイズ別の液晶パネル製造動向に関する調査結果を発表した。これによれば,2009年第1四半期(1月~3月)の大型(10型以上)TFT液晶パネルの製造比率は第8世代が10.8%,第7世代が34.3%,第6世代が23.9%となった。第4世代以前の基板による製造比率が下がって第7世代基板による製造比率が上がるなど,基板の大型化が進んでいる。

ガラス基板サイズ別の液晶パネル生産比率の推移
(DisplaySearchが調査・予測)
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 第1四半期はノート・パソコン向け液晶パネルの82.8%が第5世代のガラス基板で製造されたという。第5世代のガラス基板に不足感があるため,今後数カ月にわたってノート・パソコン向け液晶パネルの需給は逼迫するとみられる。

 一方,デスクトップ・パソコン用モニタ向け液晶パネルでは,第5世代のガラス基板による製造比率が第1四半期に初めて50%を割り込んで43.2%となった。Samsung社の18.5型ワイド液晶モニタと21.5型ワイド液晶モニタ向けは,第8世代のガラス基板で製造され,これにより第8世代による製造比率は4.4%になったという。今後も基板の大型化は続き,第4四半期には第6世代ガラス基板による製造比率が55.7%まで拡大するとDisplaySearch社は予測する。

 第1四半期のテレビ向け液晶パネル製造の内訳は,第7世代ガラス基板によるものが47.7%,第6世代が29.8%,第8世代が16.4%だった。こちらも基板の大型化が進んで,第4四半期には第8世代が28.4%を占めて,第6世代の23.3%を上回る見通し。